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ピンチを逆手に取る醍醐味 「愛の歌になりたい」

人生は、思い通りにいかないからおもしろい。
「ピンチはチャンス」という言葉がありますが、
ゆく手を阻むさまざまな困難を乗り越えることは人を成長させる、よく言われることです。
だけどその困難をうまく利用して、
前よりさらに事態を好転させることができたとしたら。

部屋の整理をしていたら、懐かしい漫画本が出てきました。
小学館フラワーコミックス、「愛の歌になりたい」(麻原いつみ)。
昭和56年に連載スタートした少女漫画です。
高校生のバンドグループがデビューを目指し、ヒットチャートで一位を獲るまでのサクセスストーリー。
ああ、よくある高校の部活とかのバンド漫画ね!
そう思ったアナタ、そうなんだけど多分、全然ちゃうと思う!!笑
今でこそ、アマチュアバンドが世に出る手段はたくさんありますが、
当時はアナログでまぁなかなか地道なアプローチが必要だったわけです。
この作品の主人公たちも、レコードデビューを目指してコンテストに出場し、
グランブリ獲得へと勝ち抜いていくわけですが、
そのたびにとにかくトラブルが発生するわけですよ!

例えば、ライバルバンドのグルーピーが、キーボーディストである主人公を出番前に拉致して、
挙句、彼女の左手を車で轢くという(完全に傷害罪やん!)。
怪我をおしてでもピアノを弾くという彼女に、リーダーは一か八かの賭けを提案します。
なんと、
グランドピアノを一台増やして向かい合わせにセッティングし、
彼女は右手、リーダーが左手、ピアノ2台で片手づつ弾くという!!!
苦し紛れの作戦を、あたかも演出に見せ、
息を合わせるふたりとそれを支えるメンバーたち、
その熱いパフォーマンスが観客にも伝わり、見事勝利を勝ち取るのです!

窮地に立たされた時こそ発想の転換を。
アクシデントに直面すると、ついついそこだけに囚われてしまい、機転を利かせることは難しいのですが、
わたしたちクリエーターにもあるじゃないですか、
企画意図が途中でひっくり返ったり、チームに欠員が出たり、納期が急に変わったり、どうしょうもないことが。
そんな時、
翻弄され、落胆したり憤慨したりする気持ちを一旦置いて、
その状況をプラスに変えることができたら、
逆に相手の期待を超えるほどいいものができたら、
いや、それこそが、プロフェッショナルなのだと思いませんか?
そしてむしろ、極限状態に陥った時ほど人は、頭をフル回転させることができる。
限られた条件下で結果的に最高のものをお客さまに提供する、
苦しい時こそポジティブにありたい、そう思います。

さあそして最終話、とてつもなく力のある組織と対決する彼ら、
裏から手を回され、悉く邪魔され、それでも目的を見失わず立ち向かった彼らのプランとは。
これもアイデアと仕掛け、そして自分達にしかできない方法で大きな賭けに出ます。
なんてことを思いつくんだ!!!
今見ても、何度見ても、心が沸き立ち熱いものが込み上げます。
内容はここでは明かしません笑

多くの壁こそが人生を面白いものにする。
興味のある方はぜひ検索してご覧くださいね!