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悦に入ることの危険

今回は仕事の失敗ではなく。

実はピアノを習っています、かなり長いこと習っています。
毎年発表会があるのですが、いつも未完成の状態でステージに上がることになります。
今年もあと1ヶ月で本番。
先日、先生に、
「もっとこうしたいなーとかありますか?」
と聞かれました。
「もちろんあります。この曲の素晴らしさをお客さんに伝えたいけど、なんせ自分の演奏が拙くて伝えきれないのがいつも悔しいです。ミスもするし、もっと余裕を持って弾けたらなって思うんですよね~」
と、そんな話をしてレッスンが始まりました。

すると弾き終わった時、先生が、わかったぞ!とばかりにおっしゃいました。
「しょうじさん、曲を聴き過ぎです!」
え?
「聴くのは大事だけど、浸り過ぎ!弾いてる間は、常に次どうするかを考えないといけないのに、曲に浸ってるから間に合わなくなるんですよ!」と。
「つまりしょうじさんは、過去にいるんです」
えーーーー!!なにそれ結構衝撃。

「この曲いい曲だなぁって思うのは、誰ですか?」
「お客さんです」
「そう!お客さんが感じるんです。弾く人は感じてちゃダメです!」
!!!
「弾く人は、こんな音にしたい、こんなイメージで弾きたい、その『操作』をすることに集中するんです。体の動かし方とか打鍵のスピードはどうするかとか。それができて結果的に『いい曲だな』ってお客さんに伝わるんです」
そうなのかーーー!!
「だから弾いてる間は曲に浸ってる暇はないんです、ものすごく忙しいんです」

その時気づいたのです。
「なんだ!仕事と同じじゃん!!」

さあ、長い前置きが終わりましたよ!笑

例えばデザインする時、文章を考える時、
わたしのデザイン素晴らしいなぁ、この文章カッコいいなぁ、なんて考えてはいません。
考えるのは、どう表現すれば伝わるか、フォントは?バランスは?構成や言葉のチョイスはこれでいいのか?それしかありません。
そうやって、ただただ伝わるものを作ることに集中した時、結果として「いいもの」ができるのです。

クライアントさんにもお話することがよくあります。
送り手はつい、自分の商品やサービスのいいところをお客さんに知ってほしくて、とにかくいいでしょすごいでしょとやりがちなのです。
でもお客さんが知りたいことは、「あなた」の商品やサービスのすごさではなく、それによって「わたし」がどんな満足を受け取れるか、なのです。

わたしたちクリエーターがやるべきは、何を伝えたいのかを明確にし、伝わる表現の仕方、『操作』に集中するのみなのだと思います。
それが結果として、クライアントさんの課題を解決することになる、それがいいデザイン、いい文章、いい写真、そう評価されるのだと思います。

仕事で常にやっていることがピアノでは全然できていなかった。
もうほんと幾つになっても未熟者です。
「今日から本番まで、そして当日も『操作』を確認しながら弾いてください。そして終わってから録画を観て、あぁいい曲だな~って思ってください笑」
先生いつもありがとうございます!

さぁあと1ヶ月、
『操作』を体に刻み込んで、発表会本番に臨みたいと思います!